胴縁にはM12などの中ボルトを使用するのが普通ですが、これにワッシャーを使用するようにと指示を受けたことがあります。確かに、中ボルトの使用方法にはそのような規格があるかもしれませんが、そこまで厳格に必要なのでしょうか。ワッシャーがなくても十分に性能を満たしているように思います。
中ボルトは、ボルト・ナットおよび座金がJIS B 1186の高力ボルトのようにセットとしては規定されていないため、ボルト・ナット・座金は特記による事となっています。JASS6では特記のない場合、ボルトはJIS B 1180(六角ボルト)の区分4.8、ナットはJIS B 1181(六角ナット)の区分5、座金はJIS B 1256(平座金)の平座金またはJIS B 1251(ばね座金)のばね座金とし、仕上げ程度は中以上とすることとなっています。中ボルトの孔径はボルト径+0.5ミリとされていますが、母屋、胴縁などの非主要構造部材においてはこの限りではないとされています。
一定の戻り止めを行った上で、振動、衝撃または繰返し応力を受ける接合部、建築基準法の制限(軒高9メートル以下、スパン13メートル以下、延べ面積3000平方メートル以下)以下の規模の構造耐力上主要な部分にボルト接合使用は許容されています。
中ボルトを躯体の接合部に使用するときには、
六角ナット―スプリングワッシャー―接合部母材―ワッシャー―六角ボルト
という順番で材料が使用されています。
胴縁などの仕上げ材料に対しては、風圧力や、地震力に対し、ガタは生じる可能性があるものの、落下等の危険性がないと判断できれば、仕様の異なった使い方がされても、大きな問題とはならないかも知れませんが、設計仕様がどのようになっているかを確認する必要があります。仕様と異なった判断を設計者、監理者の承諾を得ないですることは許されません。
母屋、胴縁のような軽微なものに対し、座金がなくても良いのではという結論を設計図書における仕様を踏まえて導き出すのは難しいようです。
特に準拠する基準としてJASS6が掲げられている場合に、明確な特記がなければ前述したように、座金の省略は許容できないこととなります。