告示1464号『突合せ継ぎ手の食い違い、仕口のずれの検査・補強マニュアル』で、柱面合せの仕口にずれがあった場合、補強盛り溶接で再溶接した時にコラムのアール部分はその隣まで巻いてアールどまりまですると記載があります。アール部分への熱影響を考えた場合、この補強要領はどのように思われるか教えてください。
冷間成形角形鋼管のかど部分は塑性変形を起こしており、材質の劣化が考えられるゾーンです。
食い違いなどの補強における補強肉盛溶接の長さがかど部分にかかる場合は溶接を連続させ平板部分で止めるようにします。この主旨は、塑性変形に伴う材質劣化のあるかど部分に溶接始終端部の入熱境界部分の存在による材質変化の顕著な部分をつくらないこと。更に溶接欠陥、応力集中などの問題を発生させないことなどの方が、柱の安定した挙動や耐力保持にとってより重要であるからと考えられます。
強制変形(塑性変形)を受けている周辺への入熱は、入熱温度によって時には内部残留歪応力を解除する効果を発揮する場合も考えられますが、本来は溶接などがかど部分に存在しないことが最良と考えられます。