JASS6では、HTB接合部は建方時に仮ボルトを使用することになっていますが、なぜ直接、HTBを使用してはいけないのでしょうか。また、建方当日に締め付けまでを完了させるのであれば、仮ボルトを使わなくてもよいのでしょうか。
鉄骨製品の精度、建方精度がよく、建方時に高力ボルトがスムーズにボルト孔に入り、かつ建て入れ調整もほとんど必要ない状況で施工できるのであれば、最初から高力ボルトで締めることは許されるでしょう。しかしながら、現実は、建て入れ調整も必要であり、また、鉄骨製品精度のばらつきも重なり、ボルト孔がぴったりと合うことには多くの困難が伴います。ノックピンなどを使用してボルト孔をあわせ、必要に応じてリーマーをかけるなどして接合部の調整を図り、建方を進めてゆくのが現状です。
その際に高力ボルトを無理やり接合部のボルト孔に差込み、最悪は高力ボルトの頭を叩くなどしておさめる可能性も考えられます。高力ボルトはF10T、F11Tなど高強度の鋼材を使用しているため、衝撃などの外力に対し割れ、ねじ山損傷などを誘発することが考えられます。この問題を避けるために、仮ボルトとして中ボルトなどの使用を義務付け、高力ボルトの損傷を防止し、接合部の設計性能を保証させることとしています。