鉄骨110番

小物溶接の可否について

Question

最近鉄骨本体に取り付ける小物が非常に多くなってきています。製作工数の上昇と曲がり対策やひずみの矯正等にかかる再入熱・再加圧がどこまでいいものなのかも疑問の残るところです。材質の管理を徹底していながら反面無造作とも思われるほどに小物ピース類が多い状態は、異常と感じております。設計仕様において、これらの検討はどこまでされているのかお教えください。また、次工程業種の下地としての要求の多い捨てピースなどは、本来溶接技量のある会社が施工されれば、FABでの無駄な取付作業はなくなるものと思われますがいかがでしょうか。実際には予定位置に付けた捨てピースだけでは間に合わず、本体に以前のようにつけているのが現状のようです。本末転倒の管理手法が野放しになっているように思えます。

Answer

ご指摘の通り、品質管理とは何かを考えさせられる現状が多く見受けられます。
仮設ピースの取付けに関するチェックポイントは「鉄骨工事監理チェックリスト」(日本建築構造技術者協会―JSCA編:技報堂)に詳述されていますが、主に次のような事柄です。
仮設部材の取り付け
・仮設部材符号を確認後、工作図に表示されたすべての寸法、形状、材質などを確認する。
・仮設部材も本体鉄骨に取り付くものは、本体鉄骨に欠陥を生じさせないよう、本体鉄骨と同様の確認を行う。
・タワークレーン等が本体鉄骨に乗る場合、間柱やウェブ補強のスチフナー等が取り付くことが多いので、その寸法、形状、材質等を確認する。
・吊りピース、タラップおよびタラップ受け金物、仮設昇降機用受け金物、足場受け、作業床受けブラケット部材、安全用仮設金物(親綱、吊り足場、手すり、養生ネット等)等も取合い上支障がないこと。
――等が基本として述べられています。
鉄骨工作図に反映できる仮設部材の配置については、有資格者が工場にて取り付けを行うため、大きな問題は発生しにくいと考えられます。
仮付けピースを取り付ける位置、その方法について設計図書(図面又は仕様書)に示されていない例は多いと思いますが、捨てプレートを用意することで、多少その範囲に変更が生じても対応が可能と考えられます。
どうしても直接主材に取り付けざるを得ない場合は、溶接の基本資格を有し、かつ、取付け位置としては、梁端部、柱端部、フランジ幅の外端部、角形鋼管のコーナー部、接合部、継手部などを避け、さらに溶接長は40ミリ程度以上として実施することがよいでしょう。