鉄骨110番

耐震ブレースの斜材Hのウエブ溶接

Question

耐震補強K型ブレースの製作において、斜材H形鋼のウエブまで裏当て金を取り付けての完全溶け込み溶接を要求される場合があります。部分溶け込み溶接で十分なように思うのですがいかがでしょうか。

Answer

ブレースの耐力を設計時点でどのように評価しているかで対応が変わります。K型ブレースの部材全断面を引張あるいは圧縮に考慮している場合は、全断面の母材耐力を保証する必要が生じます。耐震補強におけるK型ブレースは、最小断面で有効な耐力を発揮させるように設計する場合が多いと考えます。また、圧縮力の作用するブレース部分は、座屈を考慮し、座屈後耐力を評価することも多く、座屈による変形に対応できる溶接部である必要があります。部分溶け込みの規定は令67条2項に示す通り柱に限って採用の記述があるのみです。一般的な建物の大梁などでは、フランジ部分を曲げモーメントに抵抗させ、ウエブ部分はせん断力に抵抗させるという設計手法もとられ、ウエブはせん断力に抵抗させるものなので、隅肉溶接が採用されています。
一般的な建物の梁とK型ブレースは要求される部材耐力が異なっているとご理解ください。

※参考=建築基準法施行令 第67条(接合)2
構造耐力上主要な部分である継手又は仕口の構造は、その部分の存在応力を伝えることができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。この場合において、柱の端面を削り仕上げとし、密着する構造とした継手又は仕口で引張り応力が生じないものは、その部分の圧縮力及び曲げモーメントの4分の1(柱の脚部においては、2分の1)以内を接触面から伝えている構造とみなすことができる。