高層建築物において、トルシア型高力ボルトの現場軸力導入試験を各階行われる場合がありますが、日本建築学会 鉄骨工事技術指針・工事現場施工編の「第5章 5.3.4」では『未開封のまま現場へ搬入、適切に受け入れ、保管された高力ボルトについては、特別な品質確認は行わなくて良い』とあります。現場軸力導入試験を省略する事は可能でしょうか。
基本的には、当該工事の設計図書に示されている仕様書に準ずることになります。
公共建築工事標準仕様書(平成19年版)(社)公共建築協会の7.4.5締付け施工法の確認においては「高力ボルトの締付け作業開始までに、工事で採用する締付け施工法の確認を行なう。」となっており、公共建築に対しては、省略するに際し調整が必要となります。民間工事においても、施工契約時における準拠図書、準拠仕様書においてJASS6は契約内容に含まれる仕様であり、設計図書において特記事項を明記しておかなければ、準用されることとなります。鉄骨工事技術指針・工事現場施工編 日本建築学会に準ずることが明示されておれば、問題がないのですが、一般的には公共建築工事標準仕様書、JASS6に準ずることが示されており、その内容における特記事項が示されていない限り、省略するには別途契約に関する調整が必要となります。設計者は積極的に現状に沿った対応を設計図書に記述しておくことが重要です。設計者は、試験省略における特記事項を設計図書に明確に示しておく必要があります。