鉄骨110番

地震対策に関する要望

Question

学校の昇降口ポーチの設計についてお願いがあります。児童・生徒が毎日出入りする昇降口の上に下図①や②のような鉄骨ポーチがある場合、構造上は特に問題ないのでしょうが、想定外の事態によって避難する子供達の上にポーチが落下したらと思うと恐ろしくなります。安全と考えられていた原発でも大変な事故が起き、多方面への影響がありました。ポーチで災害がないとは言い切れないと思います。子供達の命を守る上でも、ポーチの屋根は地面から支える③や④の様な形状にならないものでしょうか。組立て取り付ける際にも、より安全、安心に施工ができます。

Answer

いくつかの場合についてご説明します。
①鉄骨ポーチをあと施工で取り付ける場合は、あと施工アンカーの耐力が保障されることが必要です。あと施工アンカーについては全数引張試験、あるいは打音試験などを行い、施工精度を確認することが必要となります。RC柱、RC梁に確実にあと施工アンカーが施工されるのであれば大きな問題はないと考えます。しかし、柱、あるいは大梁が地震時に損傷した場合は、アンカーボルトが抜け出す可能性も考えられます。この状況が発生する可能性を考えると、ご質問の通り、4本足(支柱)を地上の基礎にしっかり設置させることのほうが、安全性確保の上で有効な手段と考えます。
②新築時において鉄骨ポーチを取り付ける場合は、アンカーボルトを規定長さ分大梁、あるいは柱に定着させることができるので、柱、梁に塑性ヒンジ(割れが生じる)が発生しても、その分だけ定着長を確保できれば抜け出しの問題はないと考えます。
③4本足で地盤から支柱を立てる案は、地盤が地震時に液状化などを起こさないことが必要です。エキスパンションジョイントにてポーチと建物本体を分離して考えることも必要です。
④一般的に玄関ポーチ、昇降口等の庇は、片持ち形式で設計される場合が多いと思います。その理由としては、出入り口であることから、障害となる支柱のないことを計画上要望されているからと考えます。
――以上思うところを述べましたが、4本柱でしっかりとポーチ屋根荷重を支え、建物上部からの地震時に生じる損傷落下物を受け止められるだけのしっかりとした設計がなされ、避難用の安全通路確保の為の配慮がされることは重要なことと考えます。