設計図で梁材がSN400B材だったのですが、SS400にて施工図を提出。製品検査で不整合が判明したため、ブラケット(ハンチ)の取り換えを提案したのですが、管理者から取り換えに際しての悪影響を問われました。どのような説明をしたらよいのでしょうか。
どのような説明をしたらよいのでしょうか。
A SN400B、SN400Cとなるとシャルピー値、炭素当量、降伏点、SN400CではZ方向の絞りまで規定されてきます。大梁などの塑性化する可能性のある部分で、溶接により組み立てられている部材には、SN400B材が用いられるべきと考えます。以下の説明では、柱・梁接合部がどのような形状で組立てられているかを想定した上で注意事項を述べさせていただきます。
①柱に冷間成形角形鋼管が用いられている場合(柱通しの場合)
梁部材にSS400を使用してしまっている場合、柱内部のダイアフラムにSS400材が配されている場合は、接合部の柱部材を切断し交換する必要が生じてきます。
②柱に冷間成形角形鋼管が用いられている場合(梁通しの場合)
ダイアフラムにZ方向の応力が作用することから、SN400C材を用いなければならない。その部分までもSS400としてしまっている場合は、やはり接合部(「さいころ」と呼ばれる部分)は全て交換となります。
③柱にH形鋼が用いられている場合
梁部材だけであれば切断して交換することも可能ですが、スチフナーまでもSS400としてしまっている場合は、やはり接合部全体を交換せざるを得ないと考えます。
④梁部材のみSS400としてしまっている場合
ダイアフラム、スチフナーが設計図通りに製作されている場合は、梁フランジを柱フランジの表面より5ミリ程度残してガス切断し、その後グラインダーにて柱フランジ面まで仕上げて後に再溶接をすることとなります。当然ながら、母材には必要以上の入熱があり鋼材分子が荒くなり、靭性も低下することから、柱の幅にもよりますが、梁フランジ幅より柱の幅が大きい場合は、梁フランジにウィングプレート、あるいはドックボーン形状のように水平ハンチを設け、梁端溶接部で降伏しないように配慮し、梁フランジ母材で降伏させることを優先させる形状等の採用をお勧めします。