鉄骨110番

裏当金テーパー部の溶接欠陥

Question

ロボット溶接を行う場合、開先内にテーパー加工を行ってある裏当て金を使用しています。組立て溶接はテーパーのなかに行っていますが、本溶接終了後、超音波探傷検査を行ったときにテーパーの部分で欠陥が検出された場合、欠陥として取り扱う必要がありますか。テーパー内は板厚を超えているので、板厚の範囲内の溶接が健全であれば、欠陥として扱う必要はないと考えますが、いかがでしょうか。

Answer

裏当て金にテーパーを設け、その開先部分に組立溶接を行なうことは諸事情によりやむなしと考えます。超音波検査における合否判定にフランジの母材厚より外れる部分に欠陥が存在しても良いのではという意見には、賛同しかねます。フランジの応力はフランジ分の厚さがあれば数値的には成立します。しかし、応力の流れは、溶接部の余盛部分にも拡散し、余盛部分にも引張応力が生じることとなります。その結果、余盛部分の外周部に欠陥が存在すると、その部分を基点とした破断が生じることとなります。その部分の破断時の強度は、フランジ母材強度と同等以上かもしれませんが、余盛部分に存在する欠陥を基点として、十分な伸びが生ずる前に破断することが考えられます。溶接部の靱性に対しては、母材以上には伸びませんが、溶接部の破断が表面に存在する欠陥部から生じる可能性があります。まさしく溶接の余盛部分といった存在の部分と考えられます。余盛部分に溶接欠陥が存在することを許容できるでしょうか。溶接部の欠陥で、溶接部中心部における欠陥より、溶接部表面に近い部分の欠陥の方が、溶接部の破断に大きな影響を与える傾向にあることは、実験等で示されています。特に、溶接部表面のアンダーカット、オーバーラップ、表面の割れなどは、存在してはいけない、あるいは規定制限以内の欠陥に止めることとされています。